「結斐フェス2021」への思いを綴らせてもらいます。飾らず本音で書きます。是非読んでいただければと思います。
2020年、コロナウイルスによって、学校では多くの行事がなくなり、またイベントなど、沢山の人が楽しみにしていた機会が奪われました。大切な人に会うことも許されず、予定が次から次へとキャンセルになり、明日に希望をもっていられることが当たり前ではないと言うことを実感した気がします。
エンターテイメントはこのような状況下では、1番最初に必要ないものとして制限されていきます。しかしそれは絶対に間違っていて、エンターテイメントの分野で命かけて活動している人達はいて、その分野には進んでないとしても、音楽、映像、芸術等エンターテイメントに救われている人は沢山います。もちろん文化祭や体育祭などの学校行事は、大人にとってはそれほど重要では無いのかもしれませんが、学校生活を送る中では、数少ない仲間たちと手を取り合い何かを作り上げる機会で、エンターテイメントに触れる瞬間だと思います。それが簡単になくなっていく状況を知ったとき凄く悲しい気持ちになりました。
高校生のために何かできないかと、仲間たちに声をかけたところ、ある一人の女の子から次のような返事が返ってきました。
「誰も悪くないからこそ怒りや悲しみの行き場がなく、それを飲み込んで生活せざるをえない3年生の心中を思うと本当に胸が痛いです。どれだけの辛さを抱えてこの一年間過ごしてきたのか、想像もできません。不測の事態とは言え、ただその年に生まれたというだけで不利益を被り、それが当然のように人生に大きく作用することの理不尽さは考えものだと思います。本当なら約束されていたはずのかけがえのない時間や経験が奪われている事実を、仕方ないと諦めることが大人だとは思いません。大事な時間をもう一度約束してあげたいです。」
この女の子もコロナ渦で我慢しなければならなかったこと、悔しい思いをしたこともあったはずです。しかしその中で、後輩達を思い何かしようとする姿勢が凄く嬉しかったのを覚えています。と同時にこのような思いを持っている仲間がいるのであれば、きっと価値のある時間を創出できる気がしました。
結斐フェスを始動させたきっかけが、「高校生のために」だったため具体例としてこの話をさせていただきましたが、今回のこの企画は楽しみがなくなってしまっている飛騨の人みんなに届けたいと思っています。
創立メンバーは、昨年の年末から定例のミーティングを重ね準備を進めてきました。
結斐フェス2021は完全に学生主体で行っています。メンバーが九州から北海道まで、全国各地に散らばっているため、思うように企画が進まないことも多々ありますが、少しでもいいものを作ろうとメンバーみんなで意見を交わし取り組んでいます。
こんな時期になぜ人が集まるような企画をやるんだと言う意見もよくわかります。しかしコロナウイルスを決して甘く見ているわけではありません。個人的な話にはなりますが、私は昨年の2月アフリカ大陸を一人、バックパックを背負い、旅をしていました。そんな中、コロナウイルスが中国、イタリアで広がり始めます。アフリカの人たちにとっては、自分が中国人か日本人か、見分けはつきません。宿を出て少しでも街を歩こうものなら、「コロナ」と罵声を浴びることになります。バスの乗車を拒否されたり、暴力を受けたりと、コロナのせいで怖く、悲しい思いをしたことを覚えています。また日本に帰国した後も海外に行っていた人という冷たい視線を感じ、距離を置かれたことは忘れません。しかしだからこそ、コロナで辛い思いをしている人の気持ちがよく分かります。そしてその経験をした上で何もせず、じっとしていることだけが正解ではないような気がしました。この先どうなるかは誰にも分からないけれど、失敗や叩かれることを恐れていては何も前に進んでいかない気がします。可能性があるのなら信じて前を向いて進んでみようと思います。
コロナに関しては、十分な対策をしながら進めていきたいと思います。ご協力お願いします。
企画を進めていると、学生が飛騨に戻ってくるためにはこの企画で何をすべきなのか?今後の飛騨の発展にどう繋げていくのか?この企画は来年もやるのか?という質問を受けることがあります。しかしそんな先のことは何も考えていません。コロナで奪われた青春を取り戻しに行きたい。そして夏のほんの一瞬の出来事であったとしても、一生の思い出に残るような空間を飛騨地区の人みんなで作りたい。それだけです。
多くの夢やパワーが詰まった空間になることを楽しみにしています。
2021年4月15日 代表 牛丸龍之介